【完】オオカミ先輩は溺愛中






全部、消えてくれない。




むしろ、思い出されるばかりで。



楽しかったから。




楽しい思い出だったから。



幸せに浸りすぎて、



ここにきて、現実を突きつけられてもどうしたらいいのか分からない。




ぐるぐると考えているうちに、予鈴が鳴った。




ご飯、全部食べられなかった。




先輩のことを考えていたら、お箸が進まなかった。



食欲も、なかった。




これから、私は真祐先輩からのメールも無視しなくちゃいけない。




真祐先輩が話しかけてきても、無視しなくちゃいけない。




そんなこと、私にできるかな。



心の中では、真祐先輩と話したくて、メールもしたくて。




そんな気持ちがあるのに。




その気持ちを無視して、



その気持ちに逆らってまで、無視することができるのかな。




頭に浮かぶ、真祐先輩の笑顔。





話しかけにきてくれるたび、キラキラと輝く笑顔を向けてくれていた。