目の前には、ものすごくイケメな顔。
そして、唇に感じる違和感。
なにか......柔らかいものが当たっている。
「わり......」
目の前の男の人は、そう申し訳なさそうに謝り、私の上から退いた。
そして、私に手を差し伸べた。
「....」
しかし、私の頭は真っ白。
体が動かない。
「だ、大丈夫.....?」
と、もう一度聞き直され、少しずつ、こっちの世界に意識が戻ってくる。
「あ......え......や.....ご、ごめんなさぁぁぁぁいっ!!!」
「え、蒼衣!?」
「お、おーい!」
そんな声も無視して、私は一目散に走り去った。
な、な、何っ!?
何が起きたの!?
あんな近くで、男の人の顔見たことなんてないよ!?
そ、それに......唇に感じたあの感触は......!?
「はぁ....はぁ.....蒼衣......」
「あ、めぐみ、ごめん......」
走って私を追いかけてきためぐみ。
息がきれていた。