「ふふっ。蒼衣、可愛い。」
もう、いつ心臓が止まってもおかしくない。
そのくらい速く動いてる心臓。
こんなにドキドキしてたら、先輩に聞こえちゃう......
「俺のこと、真祐、って呼んで?」
「え?そ、そんなことできません.....」
先輩だし、いきなり呼び捨てで呼ぶなんて、できるわけないよ.....
「いっかいだけでいいから。ね?」
そう言われ、
「ま、真祐.....っ.....」
先輩のおしに負けた私は、小さな声でそう呼んだ。
私が名前を呼ぶと、満足そうに笑い、
「よくできました。」
と、私の頭をなでた。
男の子に頭をなでられたことなんてなくて。
せいぜいお父さんくらいなのに。
私、とことん“初めて”を真祐先輩に奪われてる気がする。

