「いいから。こっちむいて?」
と、優しく言われる。
もう、その声のトーンは反則です。
そんな甘い声で、私の心を揺らす。
ゆっくり顔を上げた。
自分の目に映る先輩の姿。
「ほんと、そういうとこ、すげー好き。」
と、真剣な顔をして先輩は言った。
先輩の言葉に、私の顔はより熱くなった。
「可愛すぎて、誰にも渡したくねーわ。」
ポンポンと、私の頭をなでてくれた先輩。
私だって、同じこと思ってる。
先輩を誰かに渡すなんて考えられない。
先輩が誰かのものになるなんて嫌だ。
「安心して。」
「え?」
「俺も今日、蒼衣が泊まりに来たときの事考えてて、授業なんて何ひとつ聞いてなかったから。」
と、恥ずかしそうに言った。
先輩......
同じこと、思ってくれてたんですね。
私と、同じこと。
「こんなこと、本人には絶対言いたくないと思ってたけど、あまりにも蒼衣が可愛すぎて。俺も、伝えとかなきゃな、て思った。」
そういう、先輩の優しさが好き。
意地悪しても、そのあとちゃんと優しくしてくれる。
そういうところ、先輩らしいと思う。

