幸せにひたり過ぎてて、忘れてしまっていた。
「特にまだ、これになりたい、とかはないんだけど、俺の行きたい大学、ここから結構遠くてさ。」
どこか、遠くを見るように先輩は話してくれた。
「実家出て、一人暮らしすることになると思う。」
「そうだったんですか.......」
高校卒業したあとのことなんて、今まで考えたことなかった。
離れ離れになるとか、遠距離恋愛とか。
「あと一年あるけど、蒼衣と離れてからどうしようって、そんなことばっかり考えるようになっちゃって。」
鼻の奥が、ツーンとしてきて。
今にも涙が溢れそう。
「大学なんて、近くにたくさんあるしそこ行けば蒼衣とだってすぐに会える。でも、そうもいかなくて。」
たくさん、考えてたんだ。
先輩なりに、たくさん。

