不覚にも、先輩と言ってしまった。
先輩の目はすでに........オオカミの目だ。
「さっきあれだけ言ったのにね?」
「ゆ、許してください!」
「はい、また敬語。」
どんどん私に詰め寄ってくる先輩。
一歩ずつ、後ろに後ずさりする。
「どこまで俺から逃げるの?蒼衣。」
「に、逃げてません!」
「明らかに逃げてるよね?」
先輩は、どんどん私に近づいてくる。
それと比例して後ろに下がる私。
ど、どうしよう。
後ろ歩きの私と、普通に歩いてきている先輩。
どう考えても私の方が不利で。
距離がどんどん詰まってくる。