そんなこと、言ったっけ......?
私、今の今まで、大森と話したのは助けてくれたときが初めてだと思ってたよ?
「だから鈍感て言われるんだよ。」
そ、そうなのか......
「でも、如月さんは優しいから、色んな人助けてるだろ。その中のひとりだったんだよ、俺は。」
そんなこと、ないと思うけどな.....
自分が優しい人間だなんて、思ったことないし。
それに、色んな人を助けてる記憶もない。
「だけど、俺にとってはそれが特別だったんだよ。
みんな、俺を見ては笑って。
助けてくれるやつなんて、ひとりもいなくて。」
「別に、それでもいいって思ってたけど」と、大森くんは言った。
「でも、どうしても助けられたのが嬉しくて。
如月さんがあのとき、困ってて。
俺がここで助ければ、俺を見てもらえるチャンスだと思った。」
そう、だったの.....

