そして、少し経ったとき。
大森くんが席を立ち、教室から出ていくのが見えた。
こ、これは、チャンス!
「待ってて!」
私も立ち上がり、教室から出る。
そして、大森くんを追いかける。
「大森くんっ!」
廊下で、背中に声をかける。
私の声に気づいた大森くんが振り向く。
私は大森くんに駆け寄った。
よかった......
これでお礼言える。
「あのっ、昨日は本当にありがとう!」
廊下で頭を下げた。
「ちゃんとお礼言えなくて、昨日もすぐ帰っちゃったから.....」
「ふっ、それでわざわざ追いかけてきてまで、お礼言ってくれたの?」
「あ、え、うんっ!」
「如月さん、相変わらず律儀だね。」
大森くんが微笑む。

