【完】オオカミ先輩は溺愛中





顔が近い!


今にも鼻がくっついてしまいそう。



「名前、教えて?」



と、言われる。


その距離で話されると、先輩の吐息が......!



もう、心臓は壊れてしまいそうなほど速く動いていて。



「え、あ、き、如月、あ、蒼衣です.....」



うまく、口から言葉が出てこない。


それもこれも全部、先輩のせい。



こんなに近くに顔があったら、うまくしゃべれないのも当たり前。




「蒼衣ちゃんか.....じゃー、蒼衣。」



「は、はいっ!?」



い、いきなり呼び捨て......



「ふふっ、呼んだだけだけど?」


と、意地悪そうな笑みをこぼした先輩。



な、何でもいいので、離れてください!


そんな言葉、勇気のない私が声に出せるわけなくて。




「顔......真っ赤だね.....」



至近距離で、私をまっすぐ見つめる先輩。



目を合わせることができず、目が泳ぐ。