このままじゃ、この人たちに連れて行かれてしまう.......
放課後だし、あまり校舎にいる人はいない。
タイミング良く、先生が通ってくれればいいんだけど......
そんな感じがしない。
「ほらほら!楽しいところ連れて行ってあげるから!」
「は、離してください!」
必死に抵抗しても、力が適わない。
その時だった。
「嫌がってるじゃないですか。離してください。」
そんな声が聞こえてきた。
私の後ろから聞こえてきた声。
聞き覚えのある、声だ。
振り返ると、
「大森(おおもり)くん.......」
そこに立っていたのは大森陽太(おおもり ようた)くん。
私のクラスの学級委員長だ。
目が隠れるまで伸びた前髪に、黒縁メガネ。
学ランのボタンは一番上までしまっていて。

