「一緒に?」

「そう、一緒に」

「今朝も入ったじゃないですか」

「だめなの?」

游さんは私の顔を肩越しに覗き込む。体が密着して、思わず鼓動が走り出す。

「顔真っ赤。かわいい。恥ずかしがるゆいこちゃんをもっと見たいんだ。だから一緒にお風呂行こう?」

 游さんにそういわれてしまったら、断れる気がしない。

「拒否しないってことは、いいってことだよね」

 游さんは私をバスルームに連れて行き、おもむろに上着を脱がせる。そしてブラジャーのホックを外した。でも、鳴り出した携帯電話の音に、游さんはその手を止めてズボンのポケットから引っ張り出す。

「そんな携帯電話なんて持ってましたっけ」

「ああ、これ病院の呼び出し用」

 游さんは二つ折りの携帯電話を開いて通話ボタンを押した。

「……はい、永峯です。うん、分かった。すぐ行く!」

 游さんの表情が変わった。緊急事態だろうか。

「また病院に戻らなきゃいけなくなった。もしかしたら、今日は帰ってこれないかもしれない。だから僕のことは、待ってなくていいからね」
 
 せっかく帰ってきたのにまた行ってしまうなんて。「行かないでください」そう言ってしまいそうになるのを必死でこらえた。

「分かりました。気を付けて、いってきてください」

「うん。じゃあ、いってくる」

 游さんは車のキーを手に取ると、部屋を飛び出していった。