「ここでは必ず覚えて頂きたいことがあります。まず、学校内での喧嘩は禁止されています。これには厳しい罰則がついています。」

白髪の老人は続ける。


「門を出ると学校側の"責任"という文字はなくなります。彼らも同意してここにいます。」


話の途中でノックがなる。

「お、お茶をお持ちしました。」

猫背で痩せこけた四十代後半の人が弱々しくお茶を運んでくる。

お茶を机に置くとそそくさと出て行った。



「話をづつけます。校内では上下関係は成立していますので大丈夫ですが、門を出ると途端に崩れるということです。つまり、無防備な状態でいると確実に狙われます。」


「そんなに酷いんですか?」


「大体の教師はこの学校で寝泊まりしています。ここの棟は落書きなどないし、とても清潔でしょう?生徒の立ち入りを禁止しているので安心です。先生一人一人の部屋も用意させてあります。」


カチャッと音がしその方向を見ると302と書かれた鍵が。

「これは坂口先生の部屋の鍵です。好きに使ってください。」