鈴菜は顔をあげた。


その顔はとても驚いているようで、いつもの倍は瞳が大きく見えた。


「でも、僕、恋ってしたことないからさ。今まで、気づかなかったんだ。

鈴菜が竜を好きって聞いたとき、胸が痛かった。
この胸の痛みの正体もわからないままにしておいたのを今、後悔してる。

『しっと』っていうんでしょ?こういうの。
ごめんね、今まで気づかず、傷つけて。

僕は2年生で、来年で退部して、この学校を去るけど…

迷惑、かけると思うし、
寂しい想いさせると思うし、
遠距離にもなるかもしれないし、
めっちゃ身勝手だけど…

僕と付き合ってください。」


フラれる覚悟だった。

だって、1度、僕はフってるんだから。


「いや…」


やっぱりね。


「…じゃん」


「え?」


「いや、なんて…言うわけないじゃん!」


そういって鈴菜は僕に抱きついてきた。