その子は、とても、幸せそうに笑っていた。


これを撮った人も、きっと幸せな気持ちになっただろうな。


悪いと思いながらも、もっとこの人の写真が見たくなって、カメラのボタンを横にスライドさせた。


すると、とても幻想的な夕暮れ時の街の写真が映し出された。


どこか高いところから撮ったような写真だった。


見ているだけで、とても心が洗われるような、でも切ないような気持ちになった。



この人には、カメラの才能があるのかもしれない。


そう思うくらいに、とても綺麗な写真だった。




もっと、見たい。




そう思って横ボタンを押したけれど、それ以上写真はなかった。



「この、2枚だけかあ…」



残念、もっと見たかったな。


2枚しか写真が入ってないカメラ。


だけどその2枚の写真は、私の心に残るには十分すぎるほど魅力的だった。