「それにしても花壇の隅なんてよく見つけたな。」
「あの花壇お世話してて、毎日来てるので…」
「そうか、あの花壇、お前が世話してたんだな。4月くらいから綺麗になったなーった思ってたけど。昨日も花見てて、そのままわすれて帰ってさ。」
「そうだったんですか…。」
なんか、嬉しいな、見てくれてる人いたんだなあ…
「じゃあ。」
と、は部室に戻ろうとすると、また振り向いて
「お前、名前は?」
と聞いた。
「松下、波留、です。」
「ハル、な。りょーかい。俺、沢村海人。カイって呼んで。じゃあ、ほんとにありがとな、ハル。」
そう言うと、今度こそ部室に戻っていった。
パタンとドアが閉められた後、私はこれまでにないくらい心臓が高鳴っていることに気づいた。
トクトクトクトク…
こんなにも、自分の鼓動が聴こえるくらいに。
これは、何に対しての高鳴りだろうか。
いくら考えても、答えは出なかった。