「もういいぞ。入ってこい。」

ドアがゆっくりと開く。


キリッとした眉に黒くストレートな髪の毛、薄い唇。
そして鋭い眼光。


思わずドキッとした。


目がハートな周囲の女子たちの胸の高鳴りとは違い、背中に大粒の冷や汗がでるものだ。



武田の持つチョークから尾高 蓮という文字が浮かび上がる。


「尾高蓮です。父の仕事の都合でこの聖高校に来ました。よろしくお願いします。」


心臓が嫌な音を立てる。


「んじゃ、尾高の席は後ろに用意しといたからそこに座ってくれ。」

コツコツと音を鳴らしこちらへ歩いてくる。




後ろの空いてる席といえば。英梨の隣。


尾高。それにあの目。

どこかで…。