正確には、出ようとした。 「は、る…」 「どけ、裏切り者」 低い声で言われると、体が言うこときかなくなる。 「どのツラ下げて目の前立ってんの」 そう言い放ったのは、幹部の早乙女 優汰(さおとめゆうた)。 沙希もいた。 なにか言いたそうな顔してこっちを見ている。