「またこけたら危ないっしょ?一応繋いどこ」 和樹は何も抵抗なくそう言った。 私だけ、こんなにドキドキしてて、それが手から伝わっていかないか、もっとドキドキしていた。 「そっ、そうだね、ありがと」 慌てて前を向き直るとだんだん人が減ってきたことに気付いた。 「あれ?和樹ほんとにこっち?」 「実はさ、こっちよく見える場所があって」 悪戯した子どものように和樹はへへっと笑うと左にそれて少し進んだところにあったフェンスに足をかけた。