「ぼちぼち移動するか」 「そうだね」 そう言って歩き出したはいいものの、アナウンスが言ってた通り人が多く、潰されそうになる。 「わっ、と…」 加えて慣れない下駄のせいで躓きそうになったところを、和樹がつかんで、立たせてくれた。 「ありが…と」 もう普通に歩いてるのに離してもらえない手から心臓の音が伝わらないか心配だ。 ついさっき、和樹とはやっぱり友達、だなんて言ってた自分が嘘みたい。