「何ぼーっと見てたん?」 「ん?…あぁ、夏祭りの時期だなって」 「あー、そこの商店街のだよな」 「そうそう」 さすが地元仲間だ。話が通じる。 「あ、あのさ」 「ん?なに?」 これがチャンスだと思った。 夏の暑さでまともな判断が出来ていなくても良いと思った。 「明後日の夏祭り、一緒に行こうよ」 照れ隠しで咥えた木製のスプーンには甘ったるい味が染みていた。