私が、泣いてたらダメじゃないか。



若葉を笑顔にできるのは、私だけでしょ?



私が泣いていてどうするんだ。



私が笑顔で若葉を見送らないと、きっと後悔してしまう。



きっとじゃない、絶対後悔してしまう。



「琴……」



若葉は、握っていない方の右手で私の頬に触れた。



私は、そんな若葉の右手を自分の頬に当てながらそっと重ねる。



そして、若葉の左手もギュッと強く握りしめる。