「そんな学校あるのか?」

「間宮、知らないの?」

ゆりかがケイタの顔を覗き込む。

「天井に、逆さまにしてとめてあるんだよ。首が下に向かってぐるんぐるんまわるの」
「しかも、私立じゃなくて俺らと同じ公立だぜ。ほんと信じらんないよな」

上野が窓に身を乗り出しながら言った。


「この差はなんなんだよ。クーラーついてるのは職員室とコンピュータ室だけだし」
「熱中症になったらどうしてくれるんだ」

渡部と崎野はしきりに文句を言っている。


「しょうがないよ。うちはビンボーなんだから」
「つってもよ、川嶋。扇風機ついてる中学も俺らと同じくらいビンボーなんだぜ。そんなトコが扇風機つけるっつーんだから、うちの学校も生徒のために考えたらいいだろ」


「リッチな学校がうらやましいぜ」


そんな話をしているとき、始業のチャイムが鳴った。

「じゃ、放課後な」
「ああ」


そう言って、各教室に向かった。