数歩歩いて、屋上の扉に手をかける。
開けて一歩、扉の向こうへ足を踏み入れて。
そして、もう片方の足に力をいれて、いろいろあったその場所から、私は足をはなした。
──彼女が少し甘くなった理由。
彼女があそこまで変われた理由。
知りたくないって言ったら、嘘になるけど。
きっといつか、知れるだろう。
──彼女と、“あの族”の話は、また、どこか別の場所で。
後手に扉を閉めて、私は急ぎ足で茜たちがもう着いてるであろう空き教室へ向かった。
勢いよく引き戸を引けば、中にいた3人が警戒するようにバッと振り返って、それから安心したような顔をした。


