茜め…、なんて心の中で毒づきつつ、そういえばとニヤニヤしながら口を開く。
「伽耶、今日朝陽さ──っあ、彼氏さん迎えに来るって言ってたけど、もう来てる?」
「ん、まだかな。…てゆーか、わざとらしいし、朝陽さんでいいでしょ」
「うふふふっ伽耶が照れてる可愛い!うっふふふふふふふ」
「キモいこわい、照れてないし睨んでるんだけど」
いやん、辛辣。
そんなやり取りをしていれば、頭がズッシリ重くなった。
これは、確実に…。
「…何かなこの腕は。重いんですけど!!?」
「うるせぇ、疲れたんだよ」
頭に乗せられた腕を持ち上げて振り返れば、いつもよりきちんと制服を着ている茜がいて。
あー、なんて声を漏らしながら、ネクタイをゆるゆると緩める姿にほんの少し見入ってしまった。
顔が良いとなんでも絵になってしまうんだから困る。
「…って、ハッ!違う違う!もう、遅いよ茜」
「あ?俺が人気だからってねたむなって」
「ねたんでませんけど!!?」
「あーはいはい」
適当に言う茜にぎゃあぎゃあ反発していれば、伽耶が呆れたようにため息を吐いて「ほら、イチャイチャしないで。空き教室いくよ」なんて歩き出す。
い、イチャイチャなんてしてませんけど!!


