部屋よっていくか聞いただけなんですけど。
むっつりですか、なんなんですか、茜さん。
気づけばどこか弱々しくなってしまっていた表情を、ふ、と緩めて。
もう、なんて心の中で呟いて、ふは、と吹き出す。
「何照れてんだまったく茜はむっつりだな。ココア、飲んでいくでしょ?寒いし!」
「あ?照れてねぇしむっつりじゃねえ!ふざけん……ココア?」
食いついた茜に、笑いそうになるのをなんとか堪える。
「そうそう、ココア」
そんな私の言葉に、きっと即答したいだろうに我慢して、ちょっと溜めてから。
「…仕方ねぇな、寄ってやるよ」
面倒くさそうに言った茜に、ぷ、と吹き出してしまった。
相変わらず、甘党なのを認めないんだから。


