────そして、そんな倉庫にバイバイを告げて。
もう次の日になっていそうな、そんな時間。
私を乗せた茜のバイクが、マンションの前で減速して止まった。
「じゃあ、茜、送ってくれてありがとう」
バイクから降りて、茜に笑顔で言う。
「おー」
そうすれば、寒そうに顔をマフラーに埋めた茜がくぐもった声で返事をした。
ばいばい、なんて茜に手を振って、茜も振り返してくれて。
茜がバイクに乗って帰るのを見送ってから中に入ろう、なんて思ってその場から動かずにいれば、茜も同じようなことを考えていたみたいで。
「……」
「………」
2人でその場で、5秒、動かずに立ち尽くしてしまった。
「……っていやいや!茜、ほらはやくバイク乗ってよ!」
「はぁ?日向がさっさとエレベーターのれよ」