「──はい、ミルクティー」
ことり、目の前に置かれたカップ。
ありがとう、とお礼を言って。
少しの沈黙が流れた。
いろんな感情が入り交ざって、何から話せば良いかわからない。
ありがとう?ごめんね?またあえてよかった?
何から、話そう。
そう思ってるのはだいちゃんも同じみたいだった。
頭を悩ませながら程よい甘さのミルクティーを口に含んで、カチャリと置く。
そして、それからほんの少し間を空けて。
言葉がまとまったのか、だいちゃんが口を開いた。
「──日向、」
だいちゃんの声がクリアに響いて見つめ返せば。
正面に座っていただいちゃんは、あろうことか私に頭を下げた。
「だいちゃん…!?」
「──日向、ごめん。ごめんな」
なんだって、だいちゃんが謝るんだ。
それもそんなに、泣きそうに。
謝らなきゃいけないのは、私なのに。
「だいちゃんに謝られることなんて何にも、」
ないよ、と言おうとしたのに、その言葉は遮られて。
「…俺だけ、楽しく過ごしてて。日向の気持ちも、ずっと知らなくて。俺が“あの時”ちゃんと転校のこと、伝えてたら」


