私と目を合わせただいちゃんは、私のそんな心の中を知っているかのように、
「…おう」
って返事をして、ニッと笑った。
「入れよ、日向」
そしてもう一度、扉を指差してそう言われて私は深く頷いた。
涙を拭って玄関の敷居を越えれば、ふわり。
懐かしい匂いが私を包む。
場所が変わっても、変わらないんだなぁ。
何年も前の話なのに、まだ覚えてる。…だいちゃん家の匂い。
靴を脱いで、案内されたリビングのソファーに腰掛ける。
ほんの少しだけ緊張しながら、
「飲み物作ってくるから、待ってて」
という言葉に返事を返した。


