「来てくれたんだな日向!!」
「だい、ちゃん」
ニコニコ笑うだいちゃんに反して、私の声は揺れてへなへなしていて。
だって、いつぶりだか分かってる?だいちゃん。
…海に突き落とした、あの日以来なんだよ。
つい最近まで、“死んだ”って思ってたんだよ。
だいちゃん。
本当に、生きてるんだよね。
殺してないんだよね、私。
そんな私の気持ちが伝わったのか、だいちゃんがまたふわりと笑った。
「とりあえず、入れよ?」
「う、ん。おじゃまします」
…だめだなぁ、私。もう、泣きそう。
鼻の奥がツンて痛くて、それを隠すように私はだいちゃんが開いた玄関へ向かって歩き始めた。
インターホンの前にいた私は、玄関の前にいるだいちゃんにだんだんと近づく。
一歩分、近づくたびに視界が歪んで。
玄関までたどり着いて、だいちゃんの腕に触れたら。
溜めていた涙が、こらえきれずボロッと溢れてしまった。


