「あああああああ!!あ、茜!!」
ガッターン!!物凄い勢いで立ち上がった私に、お母さんは「な、なに!?敵襲!?敵襲なの!?」と謎の声を上げている。
ちなみに敵襲ではない。
「茜のこと、すっかり、忘れてた…!」
顔から一瞬で血の気が引いて、ひええ、と騒ぐ私。
そんな私を見て慌てるお母さん。
2人であわあわあわあわ、と慌てまくった後、何秒かしてなんとか落ち着く。
「お、怒ってるかな?もう帰っちゃってるかな?」
ブツブツと呟けばお母さんが首をかしげて私に尋ねた。
「日向の、お友達?」
その言葉に、口をキュッと結んで、なんて言おうか一瞬詰まる。
けど頭の中を素早くくるくると回して、たどり着いた答えを意を決して言葉にした。
嘘はやっぱり、吐きたくないから。


