うわ、いつの間にこんなに暗くなってたんだろう。
ついさっきまで、茜色の空だったのに。
そんなことを考えて、私は「ん?」と首を傾げた。
何かが頭に引っかかる。
……なんか、忘れてない?
どうしたの日向、というお母さんの声に「んんー?」なんて首を傾げて返事をしながら考え込む。
なんか、すごく大事なことを…。
もう少しで思い出せそうなんだけど…。
…………茜色の、空。
…あかね、いろ。
うーん、なんて言いながら頭に手を持っていく。
こめかみを掻こうとしたところで、手に冷たいヘアピンが当たった。
…………あかね。


