「……んっとに、もう。ありがとうなんて、言われる立場じゃないのにね…っ、私は。────日向とまた、こうやって話せるなんて思ってなかった…」
「私だって、また、お母さんに日向って呼んでもらえるなんて思ったことなかったよ…」
だから、やっぱり、みんなのおかげなんだ。
きっと一人じゃ何にもできなかった。
ここまで来れてもいなかった。
正直に全部、話せてなんかいなかったと思うんだ。
「日向、私が退院したら、一緒に。
── 一緒に、暮らせる……?」
そんなこと。
「…あたり前だよ。おかーさん」
涙を目に溜めて笑えば、お母さんはさっきよりもっと大粒の涙を零した。
でも、お母さんは涙を拭ってフフッと笑う。


