その日の放課後。

今日は職員会議で部活は休みだったが、私は数日間楽器から離れてしまっていたので、感覚を取り戻すために1人練習をしようと楽器室に向かっていた。

楽器室には様ざまな楽器が置かれ、一人でいても一人じゃないような……そんな、私にとっては落ち着く場所だった。

大好きなティンパニ、マリンバ。
そんな楽器に少し触れられるのも嬉しかった。

机に楽器ケースを置き、窓に向かって深呼吸をする。

でも、何度か吹いてみたがなかなか思うような音が出ない。軽いはずのピッコロも、なんだか黒い鉛の塊のように重たく感じる。

それでも、もう一度と気合いを込めて深く息を吸い込みソロパートを奏でる。

やっぱり音は重たく沈んでいて、何度めかのため息をついて窓の外を見る。いつもなら元気をもらえる陽射しも、今日はなんだか眩しすぎる。

楽器って、なんでこんなにも素直に自分の気持ちが反映されるんだろう、イヤだな。