アオゾラをカナデヨ

「行ってきまーす」

「おう!楽しんでこい!」

なんで私の家で一平に見送りされてるんだ?

薄く雲のかかる空は秋色で、朝晩はだいぶ涼しくなってきた。

大きな公園のある駅で待ち合わせ。

待ち合わせ……こんなステキな言葉だったっけ。

改札を抜けると、すぐに目に付いた。

駅前の花壇に腰掛け、長い脚を組んでイヤホンで音楽を聴いている安斉くん。その耳からは流行りの曲じゃなく、きっと吹奏楽の音色が流れているんだろう。

ああ、イケメンだ、ずっと見ていたい。

私の熱い視線を感じたのか、ふと顔を上げる安斉くん。

ドキッ!

ほら、タイヨウの笑顔。

今、この笑顔は私にだけ向けられている。そう考えただけで胸がジンとする。

「お待たせ」

「うん、なんか新鮮だな。私服」

動きやすい格好だけど、私なりに髪をおろしたりして、ちょっと頑張った。安斉くんもブルーのシャツがよく似合っている。

「さ、行こう」

安斉くんが差し出した手を、ドキドキしながら握る。