アオゾラをカナデヨ



11月にある全国大会や、その直前に行われる定期演奏会の練習が本格的になるまでは、週末には休みもあった。

初めて安斉くんと外で会う約束をした。そう、デートってやつだ。

嬉しさのあまり、一平にポロッと漏らしてしまったのが悪かった。朝から一平がわざわざ家までからかいに来た。

「デートなのにジーンズかよ?スカート履けよ、色気なさすぎだぞ」

髪を整えている洗面所にまでやってきて、うるさいったらない。

「公園に行くんだから、スカートじゃ動けないでしょ!」

「は?初デートで公園?小学生かよ」

「もう!うるさいよ、何しに来たの?」

なんで一平がそんなに盛り上がってるのよ。

「だってさ、ソウが初デートなんて。嬉しくてじっとしてらんねーよ」

もう、ありがたいんだか面倒くさいんだか……。

「分かったから、邪魔しないで」

「はいはい。あ!純夏が今度ダブルデートしようって言ってたぜ」

え?ダブルデート?

思わず支度の手が止まる。

ダブルデート?なんか、いい響き。

「うん、考えとく」

満更でもない私の反応に満足したのか、ドヤ顔でやっと洗面所から出て行ってくれた。