アオゾラをカナデヨ

「ふふ。あの駅で会った時に、どっかで会ったなって思って」

「そうだったのか」

あの再会の時を思い出す。

チビって言われた第一印象は、あまりよくなかったっけ。

「うん、安斉くんのトランペット聴いたら思い出した」

「じゃさ、2人ともあの時から繋がってたってことだな」

私の手を握りながら安斉くんが言う。

あの時、駅で私を助けてくれた大きな手。だんだんと言葉を交わすようになり、お互いが意識し始める。

「ん、そうだね。またあの曲聴かせてね」
「うん、今吹こうか?」

そんなよくある普通の恋の始まりだと、私は思っていた。

「ううん、今日は楽器も安斉くんもお休みだよ」
「はは!楽器もか、そうだな」

でも、安斉くんは違っていたんだ。

きっと、何も知らない私に合わせてゆっくりと距離を縮めていってくれていたんだ。

柔らかい笑顔。これからはずっと一緒に笑いあえる。