「このミサンガ、その時の部活仲間がお揃いで作ってくれたやつでさ。これ無くしてたら、ちゃんと演技できてなかったかも。ソウのおかげだよ」
「うん」
「……ありがとうな」
私の目をまっすぐに見つめて安斉くんが言う。
「ううん」
私はまだ状況が飲み込めず、何も言えないでいた。
「やっとお礼言えた!」
ふう、と深く息をつき笑顔をこぼす。
「え?」
「ずっと……ずっと気になってたから」
「そっか」
そんな小さな当たり前のことが、彼を助けていた。
私が、安斉くんを助けていた。
「お礼だけじゃなくて、本番直前なのに、見ず知らずのオレのために走って来てくれた小さくて可愛い子がずっと忘れられなくてさ……」
えっ?
鼓動が急に早くなる。
もしかして?
「じゃあ、香子が言ってた安斉くんの中学からの片思いの相手って……?」
「ああ、うん。ソウだよ」
「……」
ーーまさか、まさか私?
「うん」
「……ありがとうな」
私の目をまっすぐに見つめて安斉くんが言う。
「ううん」
私はまだ状況が飲み込めず、何も言えないでいた。
「やっとお礼言えた!」
ふう、と深く息をつき笑顔をこぼす。
「え?」
「ずっと……ずっと気になってたから」
「そっか」
そんな小さな当たり前のことが、彼を助けていた。
私が、安斉くんを助けていた。
「お礼だけじゃなくて、本番直前なのに、見ず知らずのオレのために走って来てくれた小さくて可愛い子がずっと忘れられなくてさ……」
えっ?
鼓動が急に早くなる。
もしかして?
「じゃあ、香子が言ってた安斉くんの中学からの片思いの相手って……?」
「ああ、うん。ソウだよ」
「……」
ーーまさか、まさか私?



