安斉くんは大事そうに、その少し色あせたミサンガを触りながらゆっくりと話し始めた。
「中学の全国大会の時、たぶんソウの学校の本番直前だったはず」
「うん……」
あのマーチングの時?
「オレがさ、このミサンガ付けたキーホルダー落としちゃって」
長い足を組み替えながら、あの頃を思い出すように、丁寧に。
「それを拾ってくれたのが、ソウだったんだよ」
「えっ?私?」
遠い記憶を辿る……本番直前、ミサンガ……。
「あっ!」
「思い出した?」
そうだ。本番直前、出番を待つ緊張の舞台裏、高鳴る胸の鼓動。
そんな、いっぱいいっぱいの私の横を通って行った男子のカバンから何かが落ちるのが見えた。
反射的に目を向けると、トランペットのキーホルダーにミサンガが付いたものだった。
「もしかして、トランペットのキーホルダー?」
「うん、そう」
「中学の全国大会の時、たぶんソウの学校の本番直前だったはず」
「うん……」
あのマーチングの時?
「オレがさ、このミサンガ付けたキーホルダー落としちゃって」
長い足を組み替えながら、あの頃を思い出すように、丁寧に。
「それを拾ってくれたのが、ソウだったんだよ」
「えっ?私?」
遠い記憶を辿る……本番直前、ミサンガ……。
「あっ!」
「思い出した?」
そうだ。本番直前、出番を待つ緊張の舞台裏、高鳴る胸の鼓動。
そんな、いっぱいいっぱいの私の横を通って行った男子のカバンから何かが落ちるのが見えた。
反射的に目を向けると、トランペットのキーホルダーにミサンガが付いたものだった。
「もしかして、トランペットのキーホルダー?」
「うん、そう」



