アオゾラをカナデヨ

ソロパート。広いホールに響く、私だけの音。響け、アオゾラの音ーー。

間違えることなく無事に演奏を終える。

ーーパチパチパチ!

大会が進むにつれて、観客席も保護者や聴きに来てくれた人たちで埋まってくる。その分、拍手の音も大きい。

舞台袖、やり切ったみんなの清々しい笑顔。何も言わずに抱きしめ合う仲間たち。

どんな結果であれ後悔はない、みんながそう思っているはずだ。そう思える演奏だった。

笑顔弾ける集合写真を撮って外へ出ると、応援に来てくれていた家族や卒業生が集まってくれていた。

一平やお父さん、お母さんの姿も見える。

「ソウ!お疲れ様!」

「一平!ありがとう、来てくれたんだね」

「うん、よかったよソロ。なんか、会場がパッと明るくなった感じした」

「ほんと⁈」

一平の素直な感想は何よりも嬉しかった。

「なんだか楽しそうに見えたわよ」
「うん、楽しかったよ」

この日ばかりは仕事も休んで応援に来てくれた両親にも、そう見えていたなら良かった。