俺には昔から虫の知らせと言われる物と出くわしていた。
所謂。直感、やま感、第六感だった。
そう……それに霊感。
だから、このコンパクトだって見つけ出すことが出来たのだった。


俺はこっそり、コンパクトをポケットに隠した。


《死ね》それから感じるものは完全たる悪意だった。

俺はただみずほの名誉を守りたかったのだ。


俺がヤキモキを焼く位、誰にでも優しかったみずほ。

彼女に恨みを抱いている人が居る。
その事実を、知られなくなかった。


奇しくも叔父さんと同じ傷みを背負わされた俺。


(叔父さんと同じように生きて行くのか? みずほー!! 教えてくれー!!)




 俺は携帯のメールが気になった。
みずほからのSOSの直後に来た、自殺と断定していたメールが……


(何で解ったんだ? 飛び降りたからか? でも……それにしては早かった)


俺はそのメールとコンパクトに《死ね》と書いたのは同一人物ではないのかと思った。


確たる証拠がある訳ではないが、俺の直感がそう判断した。


叔父さんの探偵事務所のアルバイトの時だって、幾度もそれで難を逃れてきた。

だから、確かだと思った。


もう一度メールを確かめてみる。


――岩城みずほが学校の屋上から飛び降り自殺したらしいよ――

その文面は、俺の記憶と変わらなかった。