世の中にこんな職業があっていいのだろうか…

その名も「メイド」。

「メイド」って、要するに召使いでしょ?

いつからそんな奴らが脚光を浴びるようになったのよ…

まぁ、別に構わないとは思ってたの。

だって、お金持ちのご主人様に雇われる哀れな下っ端の身分でしょ。


しかし時代が変われば何もかもが変わる。

立場逆転してない!?


何で男達から崇拝した目で見られてるのよ。


私が何でこんなにメイドに対して目くじら立ててるかと言うと…

もちろん彼氏がメイドにはまってるからに決まってるじゃない!


最初、彼の家でメイドアニメのDVDを見つけた時は唖然としたわ。

彼もトイレから出てきて慌てて私から取り上げた。

詰め寄る私に、ついに開き直った彼。

「メイドが好きで何が悪い!
これは男の夢とロマンが詰まってるんだ!」

なんて力説する始末。。。

ついには私に理解させようとDVDを一緒に見るはめに。


フリフリのスカート、黒やピンクで統一されたメイド服。

「お帰りなさいませ、ご主人様」

なんてハートマークをつけて言われりゃ、そりゃ男もくらっとくるわな…。


どうやらこのアニメは、見ている人がご主人様の視点になって話が進むらしい。
つまり、右を見てもメイド。
左を見てもメイド。

彼氏はもう何回も見ただろうに、食い入るように見ている。


「お背中、流しましょうか?」


って、風俗と何の違いがあるんだーーーー!!!

ついに私は我慢できなくなって、TVをぶちっと消した。

「何すんだよ、いいとこだったのにぃ」

「もう我慢ならん…こんなもの、冥土に送ってやるぅ~!」

「あ、ナイスギャグ♪
って、DVD割ろうとするなよっ!!」

どたんばたんと暴れていると、隣の部屋の人が壁を殴ってきたので慌てて静かにした。


「ふぅ~ん、そんなにメイド様が好きなわけ?
よぉく分かったわ」

「え、本当?」

「えぇ、これからは私が貴方のメイドになってあげるから…覚悟しなさい」

「え、ちょ、その微笑みは…って、わぁ~~~!!」


こうして私達の楽しい楽しいメイドライフが始まりましたとさ。