舗装されていない道が好きだった。道には砂利があり小石があり雑草が生え小さな生物が荒れた道を周囲の危険を観察しながら渡る光景。裸足では歩けない。痛いから。裸足では歩かない。傷つくから。裸足ではなくハイカットのスニーカーで歩いた。コンパスはない。短略的な直線だから。家まではその道を通ればいいから。最新の端末はバッグに入っている。連絡手段もある。しかし、私はバッグを持っていなかった。お気に入りのブランドの、たしか・・・・・・名前は思い出せないけど誰かに買ってもらったバッグ。おねだりしたバッグ。いや、自分で買ったのかもしれない。 そのバッグはなかった。
 でも、現実というの理不尽なもので、目の前に広がるのは単調な直線的な道ではなく、Y字路だった。
 私はどちらにいけばいいか二つわからなくなった。