「でも、翠都が直前で選抜試験受けることに決めるとは思わなかった。あんだけ、県大会には出ないって頑なだったじゃん。心境を変化させたのって、補習に来てたあの子?」
高崎がにやりと笑う。
無言で視線を逸らすと、高崎が馴れ馴れしく俺の肩に腕を回してきた。
「あの子、付き合ってんの?選抜試験のときも翠都のこと見てたし」
高崎がからかうように顔を寄せてくる。
「うるせぇな。うっとおしいから離れろよ」
「うわ、そういうこと言う?」
高崎はからりと笑うと、俺の肩から腕を離す前に囁いた。
「あの子、さっきプールの入り口に立ってたよ。よく見たら、結構可愛い子だよな」
高崎の言葉に、眉がぴくりと引き攣る。
「高崎。お前、さっさと帰れよ」
横目で睨むと、高崎は肩を竦めて俺の隣から立ち去った。
しばらく待っていると、部活のメンバー達が更衣室から完全にいなくなる。
それを待ってから、俺も更衣室をあとにした。



