唇が離れると、驚いて目を見開くあたしの至近距離で佐野くんがにっこりと笑う。
その笑顔に、頭がクラクラした。
「今日、部活終わるまで待てる?」
ぼんやりしながら頷くと、佐野くんが満足そうに口角を引き上げる。
「じゃぁ、あとで」
そう言い残すと、佐野くんはあたしに背を向けた。
あたしの前から立ち去った佐野くんがプールに飛び込む。
跳ね上がる水飛沫が、太陽の光を受けてキラキラと輝く。
眩しさに目を細めると、プールに入った佐野くんが余裕のある綺麗なフォームでゆったりと泳ぎ始めた。
水の中をぐんぐんと泳いでいく彼は、いつもに増してのびのびと手足を動かしていて、とても気持ち良さそうだった。
太陽の光を反射して輝く水の中を、漂うように優雅に泳ぐ佐野くんをじっと見つめる。
彼の泳ぎは相変わらず綺麗で、このままずっと見つめ続けていたくなる。
「佐野くん。大好き……」
あたしはタオルをぎゅっと握り締めると、輝く透明な青い波を漂う彼に小さくそっと呟いた。