市川先生は選ばれた選手の名前を発表すると、集まった部員達を一旦解散させた。
解散した部員達は、それぞれ練習へと戻っていく。
あたしがプールサイドのベンチに座っていると、肩にタオルを掛けた佐野くんが歩み寄ってきた。
あたしは立ち上がると、佐野くんに笑いかける。
「おめでとう。よかったね」
あたしがそう言うと、佐野くんは少し照れくさそうに笑った。
「まぁ、大変なのはこれからだけどな」
「そっか。練習頑張らないとね」
佐野くんが笑って頷く。
「早瀬、ありがとな。お前が背中を押してくれたから、選抜試験を受けられた」
佐野くんの言葉に、あたしは笑って首を振る。
「あたしは大したことしてないよ。泳ぎを教えてもらって、迷惑ばっかりかけてたし」
「そんなことないよ」
佐野くんは優しい目であたしを見つめると、手の平でそっとあたしの頬に触れた。



