透明な青、揺れるオレンジ



頬を緩めてにやけていると、突然頭の上に何かが落ちてきた。

にやつくあたしの視界が、一瞬にして暗くなる。


「髪、まだ濡れてる。風邪ひくからちゃんと拭いとけよ」


頭に降ってきたものを手で押しのける。

それは佐野くんのタオルだった。

タオルの中から顔を出して佐野くんを見上げると、彼が企んだようににやりと笑う。

佐野くんはタオルを掴んであたしの頭に被せると、わしゃわしゃと乱暴にあたしの髪を拭いた。


「佐野くん!」

タオルの中で悲鳴をあげると、佐野くんがあたしの髪を拭く手を止めて後ろから抱きしめてきた。


「佐野くん……どうしたの?」

ドキドキしながら訊ねると、佐野くんがあたしの耳元で熱い吐息を漏らした。

耳を柔らかくくすぐるそれに、小さく身悶える。


「今日、早瀬が無事でよかったなって。ふと今さらそう思って。そしたらなんか、抱きしめたくなった」

佐野くんの声が耳元で切なく響いて、胸がきゅんと優しく傷む。

あたしは抱きしめてくれている佐野くんの手を握ると、振り返って彼の顔に頬を寄せた。