最後のキスのあとに、佐野くんがあたしをぎゅっと強く抱きしめる。
そしてあたしの身体を持ち上げると、プールサイドに座らせた。
「着替えてくるから、早瀬も着替えてこいよ。遅くなったし、一緒に帰ろ」
そう言って笑うと、佐野くんもプールから上がって更衣室の方へと歩き出した。
遅れないように、あたしも立ち上がって彼のあとを追いかける。
更衣室で制服に着替えると、濡れている佐野くんのスウェットを丁寧にたたんだ。
それを腕に抱くと、佐野くんの香りがしてくるような気がして。
さっきプールの中で交わしたキスを思い出してついにやついてしまう。
持って帰って、洗って返そう。
あたしはそれをビニール袋に入れて鞄の中にしまうと、更衣室を出た。
着替え終わったのはあたしのほうが少し早かったみたいで、更衣室の外に佐野くんの姿はまだなかった。
ふとプールを見ると、無人の水面で小さな波が揺れている。
何気なくプールに近づいたあたしは、今履いたばかりの靴と靴下を脱ぐと、プールサイドに座って水に足をつけた。
夕方のプールの水は、昼間よりも冷たい。
足先でパシャパシャと水をはじきながら、あたしはまた佐野くんとのキスを思い出た。
唇に指で触れると、彼の唇の感触が蘇る。



