思わずぎゅっと目を閉じると、あたしの唇に柔らかくて温かいものがやさしく触れた。
うっすらと目を開けると、触れているのは佐野くんの唇だった。
驚いたあたしは、慌てて目を閉じる。
それに気付いた佐野くんは、唇を離すとあたしを抱きしめたままくすくすと笑った。
「お前、おもしろいよな」
「佐野くん!!」
勝手にキスしてきたくせに、おもしろいなんてひどい。
あたしは佐野くんに抱きしめられただけでも死ぬほどドキドキしたのに。
もしかして、今のもあたしをからかって……
泣きそうになって俯くと、佐野くんがあたしの顎を掴んでぐいっと顔をあげさせた。
涙目になっているあたしを見て、佐野くんがにやりと笑う。
「今度は最後まで目ぇ閉じてろよ?」
そう言い終わると同時に、佐野くんの唇があたしの唇に重なる。
プールの中であたしを抱きしめながら、佐野くんは何度もあたしの唇に優しいキスを落とした。



