お互いに顔を赤く染めた、あたしと佐野くんの視線がぶつかり合う。
佐野くんは困ったような顔で濡れた髪を掻きあげると、プールサイドに座っているあたしの腕を掴んでひといきに引っ張った。
「ひゃっ……」
佐野くんに腕を引かれ、あたしの身体は再びプールの中へと落ちる。
だけど、今度は水中に沈む前に佐野くんに抱きとめられた。
プールの中で、佐野くんがぎゅっとあたしを抱きしめる。
「さ……佐野くん……」
驚くほどドキドキと鳴る心臓。
心拍数が上がりすぎて息が苦しい。
息も絶え絶えになりながら佐野くんの名前を呼ぶと、彼があたしの耳元に囁いた。
「そんな顔で『してほしい』とか。俺以外のやつに絶対言うなよ?」
「佐野くん?」
「テストに合格したときのお礼。早瀬からのキスにしてもらおうと思ったのに。我慢できなくなるじゃん」
「え?」
顔をあげると、佐野くんの手の平が頭の後ろに触れた。
そのまま彼のほうにぐいと頭を引き寄せられて、あたしと彼の顔がくっつきそうなほどに近づく。



