「あっそ。既に二回も溺れかけてるくせにまだプールに落ちかけるから、俺に人工呼吸でもしてほしかったのかと思った」
「ま……まさか!!」
そんなんで、わざわざ一日に3回も溺れかけるようなことしないし。
つい真っ赤になって佐野くんの言葉を否定する。
でもそれが彼の冗談だということは、あたしにもちゃんと分かっていた。
佐野くんはあたしをからかうのがよほど楽しいのか、プールの中からあたしを見上げてにやにやと笑っている。
あたしはいつまでも笑い続ける佐野くんを恨めし気に見下ろした。
さっきあたしを助けるために水の中に潜ったせいで、佐野くんのオレンジ色の髪からは水の粒が滴り落ちている。
沈みかけの太陽の光が佐野くんのオレンジ色の髪と、整った顔を綺麗に照らして何だか眩しい。
あたしはゆっくりと視線を動かすと、口角の上がった佐野くんの唇をじっと見つめた。
佐野くんはかっこいい。
よくからかわれるけど、佐野くんの笑顔にはいつも胸がきゅんとなる。
だけど。だからって。
人工呼吸はちょっと……



